まこのほけんしつ

保健室・養護教諭のあれこれ

養護教諭を目指すには、教育学部に進んだほうが有利なのか?学部学科選びのポイントをご紹介

 

 養護教諭を目指すための大学や専門学校選び。教育学部養護教諭養成課程)に進むのか、看護・保健系の学部か、それ以外の学部に進むのかで悩む人もいると思います。教員採用試験に有利なのはどの学部なの?と疑問に思う人もいるかもしれません。実は、特定の学部や学科を選んだからといって、教員採用試験に合格する可能性や養護教諭の仕事内容は変わりません。しかし、大学で学ぶ内容によって、その人の養護教諭としての強みやアピールポイントが変わってくることはたしかです。私は、看護科へ進み、看護師免許と養護教諭一種免許を取得し、養護教諭になりました。その経験をふまえながら、それぞれの進路でのメリットなどをまとめてみました。私も進路については悩みましたが、迷っている人にとって、進路を決めるヒントになればいいなと思います。ぜひ最後までご覧ください。

 

この記事はこんな人におすすめ♪

養護教諭を目指しているが、どの学部学科に進んだらいいのか悩んでいる人

 

養護教諭になるには養護教諭免許状が必要!

 養護教諭になるには養護教諭免許状が必要です。これを取得するために学校に行き、所定の科目を履修します。養護教諭になるためには、指定の養成機関へ進んで専門教育を受ける必要がありますが、最近では通信制の大学もあり、選択肢としてはいくつもあるようです。免許状は、一種免許状二種免許状専修免許状の3つに分かれますが、いざ現場に出て仕事内容に違いはありません。しかし、給与の面やキャリアアップの面で少し細かい違いがあります。

 

 養護教諭を目指せる大学や学部はこちらにまとめた資料があるのでご覧ください。

養護教諭を目指せる学校

引用:令和4年4月1日現在の教員免許状を取得できる大学:文部科学省 (mext.go.jp)

 

 教育学部や看護科はイメージとして持ちやすいですが、養護教諭を目指せる学科はこんなにもあるんですね。通信制の学校もあり、同じ養護教諭免許状を取得するのにもこのように様々な選択肢があります。

 

それぞれの学部のメリット・考えておきたいポイントを紹介

 卒業して取得できるのは同じ養護教諭免許状ですが、それぞれの学部・学科で強みや力を入れている分野は違います。今回は、教育学部養護教諭養成課程②看護・保健系③心理学・福祉学系のおおまかに3つに分けて、それぞれの学部学科から養護教諭を目指すメリットと、考えておきたい点をまとめてみました。私は②のパターンから養護教諭になったので、②がボリューミーな内容になっています。

 

教育学部養護教諭養成課程

★メリット

 子どもの成長発達過程や心理、子どもとの接し方をはじめとする「教育論」を中心に学びたい人は、教育学部を目指すと良いでしょう。現場でメインに対応することになる、児童生徒(幼児)について、一番即していて実践につながりやすい内容を学ぶことができるはずです。また、特定の科目や実習を履修することで、中学校一種免許状(保健)、高等学校一種免許状(保健)が取得できる学科もあります

 学校や教育について深く学ぶことができ、教育実習なども充実しています。現場の養護教諭から直接学ぶことが多いため、就職したときも、学んだことを現場でスムーズに活かして働くことができるのは有利だと感じます。また、教育学部で学んだ学生は、子供とのかかわり方や指導の仕方にも慣れており、子どもにあった教材や教具などの知識も、他学科と比べると豊富なのではないでしょうか。

 

★考えておきたいポイント

 看護学や小児医学など、病気やけが、身体のしくみについて、もちろん勉強すると思います。しかし、看護系の学部では、赤ちゃんからお年寄りまで、身体や発達・機能の特徴、病態についてをメインに学ぶことになるので、そちらの専門性では少しもの足りないと感じることがあるかもしれません。

 また、養護教諭養成課程は全国で7か所しかなく、まずはそこに入るための競争率はそれなりに高いかもしれません。そのほかにも、養護教諭養成課程に限らず、教育学部で学ぶ学生のなかには、最終的に一般企業に就職する人も少なくありません。教員採用試験合格も決して簡単ではないので、合格できなかった場合の進路についても考えておきたいものです。

 

②看護・保健系の学部

★メリット

 看護系の学部の学生は、急性期の患者や重症患者の、刻々と症状が変化する様子やその対応の仕方を実習でもみています。そのため、学校現場での緊急時にも冷静な観察や判断ができるのではないかと考えます。病態や身体のしくみを解剖学的、科学的に深く学んでいるため、症状や対応について、より具体的に説明することができ、そのことは教員や保護者からの安心感や信頼にもつながるはずです。また、赤ちゃんからお年寄りまで、様々な健康課題を持っている人の支援の仕方を実践的に学ぶので、保健指導の機会には、その場で一時的なものではなく、将来にもつながりを持った視点が活かせるのではないかと思います。何より、看護師免許が取得できるのは大きなメリットです。教員採用試験に合格できなくても、養護教諭以外の働き口で困ることはなさそう。大学に入ってみて、難しそうだったら看護師でもいいかな!と思っている人にとっては、良い選択かもしれません。看護師免許と保健師免許の2つを取得できる大学もあります(とってもハードですが・・・)

 

★考えておきたいポイント

 看護系の学部は、あくまで看護師になるための授業や実習がメインです。長期間にわたる病棟実習では、養護教諭が働く「学校」とは、イメージが結び付けづらく、そもそもモチベーションが下がってしまう人もいるそうです。対象者の困りごとをアセスメントして、いろんな人と連携しながらサポートしていくという、やっていることは本質的に一緒ですが、環境は全然違うし、「学校」という組織をあまり知る機会はありませんでした・・・。

 看護学生は、勉強に実習に国家試験に、一般的な大学生からすると、「忙しい」と言われます。これをあたりまえにこなしたうえに、養護教諭になるための勉強や実習をするので、そもそも本当に忙しいです。授業のコマ数や4年間のカリキュラムを見て、しかも倍率の高い教員採用試験も勝ち抜いて・・・と入学当初に説明を受けると、多くの人は諦めます(笑)「ついでに養護教諭の免許も取れたらラッキーじゃん!」って考えている人には正直難しいと思います。私もですが、看護系学部で教職(養護教諭)を履修していた人は、最初から養護教諭になる気で入学してきている人がほとんどでした。さらに、教職を学べる学校に入学しても、そもそも教職が履修できるのは「若干名」としている学校もあり、希望者が多いと、それを絞るための試験や選考がある場合も。私もこれを経験しましたが、1・2回生の成績や面接試験などをふまえて選考がありました。これを勝ち抜かないと、そもそも養護教諭免許状を取得するための授業さえも受けることができない・・・という事態になるので注意が必要です。私が通った大学では、人数制限は教育実習の受け入れ先の関係だと言っていました。確実に養護教諭免許状が欲しいのなら、人数の制限がない学校を選ぶ必要があると感じます。

 看護師志望の友人が遊びやアルバイトに励んでいたり、看護師国家試験の勉強をしたりしているなかで、周りに流されず、自分のペースでどちらも両立して学習していけることも大切です。このことからも、養護教諭になりたいという強い意志と努力が、かなり必要だと思います

 学校や教育についての知識や理解は、教育学部と比べるとかなり経験値不足だと思います。教育実習も最低限あると思いますが、病棟での看護実習がほとんど。普段から子供とかかわる機会がない人は、子供への接し方に悩むこともあるかもしれません。私もボランティアやアルバイトなどで、子供とかかわる機会を積極的に作りました。教員採用試験が不合格だった場合、看護師として働くのか、講師として働いて再度チャレンジするのか、いろんな選択肢が持てるので、その分事前にしっかり考えておくことも必要ですね。

 

③心理学・福祉学系の学部

★メリット

 近年子供のメンタルヘルスについての課題も多く、現場でも悩みを抱えた子供への対応をしていくことは多々あります。保健室登校不登校の児童生徒は、より専門的な立場からの介入が必要になることも。学校内だけでは解決できない子供の健康課題もあり、家庭や地域と連携して解決していくために、適切な支援につなげるコーディネーターのような役割が、養護教諭には求められています。子供の「心のケア」の早期発見や対応が適切にできるため、心理学・福祉学に関する知識と経験のある養護教諭は、今後もますますニーズが高まっていくと考えられます。

 

★考えておきたいポイント

 ①と似た内容になりますが、救急処置や緊急時の判断や対応について、少し経験が不足してしまうのかなと感じます。

 

実際に学校現場や教員採用採用試験を経験して

 私自身は、看護学科+教職課程を履修して養護教諭一種免許状を取得しました。正直、ただでさえ忙しい看護師になるための勉強にプラスして教職の勉強をこなすのはかなり大変でした。大学時代が人生で一番勉強していたと思います(笑)それなりに勉強も頑張っていないと、そもそも教職を履修するのに人数制限があったため、1回生のうちからコツコツ頑張りました。もちろん、アルバイトや旅行もたくさんしました。自分の時間の使い方次第で、遊びも充実させることができます♪

 学校現場に出て感じることは、看護師免許を持っていると、ただそれだけで、市内の養護教諭からも教職員からも一目置かれた感じに見られます。実際、緊迫感のある対応では、心を落ち着かせ、焦りをなるべく顔に出さないよう、冷静に判断できるように心がけています。心中はドキドキです・・・養護教諭ではなく、経験を積まれた先生方のほうが、テキパキ動いてくれる印象で、たくさんフォローもしてくださいます。まだまだ養護教諭として精進していく必要があるなと感じていますが、私は看護系学部で学んで養護教諭になって、良かったなと心から思っています。ただ、学校現場のシステムや常識的なことがあまり分からず現場に出たので、誰に何を聞いていのかも分からないし、初任の時は大変でした。教育学部だったらもっと「学校」という場所に慣れていたのかな・・・?また、指導案の書き方なども、養護実習でしか触れたことがなかったので、初任者の研究授業の時は苦労しました。

 

【結論】なりたい養護教諭像・理想の学校生活を考えて決める

 主に3パターンの学科からすすむメリットと考えておきたいことを紹介してみましたが、授業、生徒指導、救急処置、心のケアやカウンセリング能力など・・・自分がどれに力を入れたいか(興味があるか)、どんな養護教諭になりたいかという理想の養護教諭像を一度じっくり考えてみると、進路を決めるヒントになりやすいと思います。特定の学部や学科を選んだからといって、教員採用試験に合格する可能性や養護教諭の仕事内容は変わりません。それに、所定の科目を履修しなければ養護教諭にはなれませんし、一定水準のことはどこでも学びますのでご安心を。アルバイトやボランティアで子供とかかわる機会を作るとか、普通救命講習を受講するとか、自分の努力次第でカバーできるものもたくさんあります。そして、いざ働き始めると研修も盛りだくさんで、たくさん知識や技術を実践とともに、身に着けていくことができますよ。

 もう一つは、自分の住んでいる地域によっても、選択肢が絞られる人もいると思います。実家から通うのか、一人暮らしをするのか、住みたい地域があるのか、自分のプライベートなことなども考慮しながら進路を決めていくことも大切です。理想の学校生活が送れる選択ができるといいですね。

 

最後に

 今回は、養護教諭になりたいと考える多くの人が悩むであろう、「養護教諭を目指すには、やっぱり教育学部にすすんだほうが有利なのか?」という疑問を少しでも解決できるように、それぞれの学部から進む特徴などをまとめてみました。自分のなりたい養護教諭像や住んでいる・住みたい地域などを考慮しながら、進路を決めるヒントになれば幸いです。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

養護教諭の教員採用試験、現役合格につながる今すぐやること3選



  難関と言われている養護教諭の教員採用試験。現役で合格を目指したいので、早いうちからやっておいたほうがいいことはありますか?とよく聞かれます。実は、講師と比べて現場経験が少ないのが弱点と言われる現役生にも、それをカバーするために、今できることはたくさんあります。私は、大学に入学して早いうちから情報収集し、教員採用試験の時に役立つかも!と思うことはいくつかやってきました。それらが実際に現役合格という結果につながりました。この記事では、現役で養護教諭の教員採用試験合格したい!という人のために、今すぐやっておきたいこと3選をまとめました。これから養護教諭になるための勉強が始まる高校生や大学1~3回生の方は、合格に一歩近づくために、今できることをどんどんやっていきましょう。

 

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現役で養護教諭の教員採用試験に合格したいと思っている高校生や大学1~3回生

 

教員採用試験現役合格に近づく!やっておきたいこと3選

1 ボランティアやアルバイトなどを積極的にやってみる

 子どもとかかわるボランティアなどは大学でもよく募集があったので、比較的時間に余裕のある1・2回生の夏休みに参加。具体的には、児童館のスタッフボランティア、小学生のサマーキャンプのスタッフ、病気のある子どものサマーキャンプのスタッフなど。教職関係の先生や先輩などに聞いてみましょう。私は家族や親戚にも子供がいなかったため、この年齢の子の発達はこのくらいかな、この年齢だったらこんな言い回しだったら伝わりやすいな、などを意識して過ごしました子供の中で流行中のキャラクターやアニメなども知っておくと、子供たちと話す引き出しも増え、現場でも役立ちます

 私はアルバイトをするのが趣味だったので(笑)、大学時代に10種類近くのアルバイトを経験。塾の先生は子どもとかかわるし、一般教養の勉強にもつながりました。着ぐるみバイト、百貨店の催事、看護助手業務・・・子どもに限らず、様々な世代の方とコミュニケーションをする機会が増え、アルバイトはいろいろやってきて良かったなと今でも思います。学校現場に入ると、子どもだけではなく、当然目上の方や保護者とコミュニケーションをとる機会がたくさんあります面接試験も目上の方とのやり取りになります。大学時代には親以外に話をする大人は、アルバイト以外でいなかったので、貴重な経験でした。居酒屋のアルバイトでは、電話対応などもよくしました。新採の時に職員室で、「電話対応慣れているね。」と褒められたことも。いろんな経験が教員になって活きてくるはずです。

2 自己アピールや養護教諭の勉強につながる資格をとってみる

 教員採用試験の募集要項などを見ると、持っているだけで加点になったり有利になったりする資格もあります。その勉強に追われて教採自体の勉強がおろそかになると本末転倒なので、余裕がある人はチャレンジしてみてもよいかも。ここでは私が実際に取得した資格を紹介します。直接養護教諭の勉強にもつながるし、やるべきことをやっていると落ちることはない資格なので、チャレンジしやすいかと思います!

 

日本赤十字社の救急員基礎講習・救急員養成講習を受講

 これは実技試験がある人は絶対に受けておいてほしいです。基礎講習と養成講習の両方を受けると、養護教諭として最低限知っておきたいことは身につきます。自分の住んでいる都道府県で検索し、日程を場所を確認してみましょう。テキスト代も入れて3000円程。テキストも分かりやすくておすすめ。願書の資格欄にも書きました

 

防災士の資格取得

防災士とは”自助”“共助”“協働”を原則として、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待され、そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得したことを日本防災士機構が認証した人です。(防災士とは|日本防災士機構 (bousaisi.jpから引用)

 近年は自然災害による被害が全国各地で起こっていますが、災害時の学校安全についての理解を深めることができました。管理職の先生方はこの資格が必要になりますが、実は養護教諭も取得されている方が多い印象です。私は、初任者の年に、学校から受講料の補助が出ると知ったので、この資格を取りました。防災に関して力を入れている自治体も増えている傾向があるので、自分の住んでいる自治体で受講料の補助などが出る場合はとっておくといいと思います。教本を読んでレポートを作成し、講義以外にも「救急救命講習」(心肺蘇生法やAEDを含む3時間以上の内容)を受ける必要があります。小学生でも取得している人がいるそうですよ。

3 受験したい地域に実際に立ち寄ってみる

 地元を受験する場合はその地域のことをよく知っていますが、あまり馴染みのない自治体を受験する場合、完全に初めての土地と、1回でも立ち寄ったことのある土地とでは、気持ちが違いますよね。受験当日の交通手段も考えやすくなります。地域の有名なお祭りやイベントなどに行ってみるなどでも良いと思うので、観光ついでに、その土地の雰囲気を感じてみましょう。私は受験しようと思っていた県で開かれるマラソン大会に参加してみました。場合によっては自治体を選んだ動機の一つとしても十分話せると思います。



最後に

 今回は、現役で養護教諭の教員採用試験合格のためにやっておくべきことを、私の体験をもとに紹介しました。今後教員採用試験を受けようと考えている人は、今回の内容を参考にして、なるべく早く情報収集し行動していくと良いと思います。また、教員採用試験のことを視野に入れつつも、今しかできないことを全力でやっておくことが何より大切です。どんな経験も学びになり、あなたの人間らしさにつながっていくと思います。それが、結果的に試験の時の自己PRにもつながっていきますたくさんいろんなことを経験している先生や、好きなことに全力を注いでいる先生は子供たちから見てもきっと素敵です。紹介したポイントを押さえつつ、ぜひ今のあなたにしかできないことにチャレンジしてみてください

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

養護教諭の教員採用試験対策、何から始める?合格に向けてまずやるべき4つのこと

 難関と言われる、養護教諭の教員採用試験に合格するためには、それなりの準備が必要です。教員採用試験の対策はいつから何を始めたらいいのか、対策を始めるにあたって押さえておきたいポイントをまとめました。教採対策、何から手をつけていこうか悩んでいる人は、これを読んで今すぐスタートさせましょう。

 

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近々養護教諭の教員採用試験を受ける予定だが、何から対策し始めていいかわからない人

 

養護教諭の教員採用試験対策を始めるにあたってまずやるべきこと4つ

1 情報収集~受験自治体の試験科目や配点をチェック~

 教育委員会のホームページや昨年度の募集要項をチェックし、受験予定の自治体の試験の科目や配点を確認します。筆記試験は記述が多いのか、穴埋め式なのか、マーク式なのかチェックしておくと◎。試験科目が多い自治体は、後々対策が大変ですが、どれか失敗しても他の試験で取り戻せるというメリットも。大学の教職関係の情報が集まっている場所にも足を運んでみましょう。過去に受験した先輩が情報を残してくれているかも。身近に先輩がいる人は、試験の雰囲気なども分かるので、その方に聞くのがおすすめ。

 また、本命の自治体よりも先に試験がある自治体を知っておくと、本命前の練習になるので、試験の日程(7月の第何週にあるか)も確認しておくことがおすすめ。東北、関東・甲信越、東海・北陸、近畿、中国・・・など、大まかなブロックごとに試験日が統一されているそうです。

2 過去問を解いていみる

 一番新しい過去問を入手し、解いてみましょう。もちろん全く解けなくても大丈夫。1回目は解答と照らし合わせながら見ていくのでも〇。問題のボリューム、記述メインかどうかなどを確認しながら解いてみましょう。その地域特有の、教育に関する法律や政策などを扱っている自治体もあるそう。3年分ほど解いたら、出題されやすい分野、出題されにくい分野がつかめ、重点的にやるところが見えてきます。

★教員採用試験の過去問題おすすめ教材★

・ある程度受験する自治体が決まっている人は、協同出版の「50自治体別・教員採用試験過去問シリーズがおすすめ。私はこれを使用。

・受験する自治体を絞り切れていない人は、時事通信出版局の「教職教養過去問」を。全国の最新の過去問と解説が一冊に。

・インターネットで過去問を入手できる自治体も。

3 教材を選び、筆記試験の勉強を始める【おすすめの教材も紹介】

 まずは専門教養の筆記試験対策にとりかかりましょう。余裕をもって始めるなら、ちょうど受ける試験1年前の、夏(7・8月)スタートが理想。筆記試験である程度専門教養の知識を固めておかないと、面接や模擬授業にも専門性が活きてきません。秋からは教職教養もスタートさせましょう

★専門教養(養護教養)対策おすすめ教材★

東京アカデミー 教員採用試験対策オープンセサミシリーズステップアップ問題集 (専門教科 養護教諭

 全国の過去問を基本とした問題からちょっとマニアックな問題まで、難易度別に網羅されているので、高得点を狙いたい人はこれ。私もこの本だけを10周解きました。参考書部分がよくまとまっているため、緑のマーカーを大事な語句に引いて、赤シートで隠してひたすら暗記。最終的にページはほぼ緑に・・・一番使い込んだ教材です。問題に出てきた法律や答申も読み込んで、関連するページに大事なところを書き加えながら、周辺知識を固めていきました。10月下旬~11月上旬ぐらいに、毎年新しいものが発売されます。2~3年前のものになってしまうと、新しい答申などが掲載されていないかもしれないので、現時点で最新のものを購入するのが◎養護教諭編は、大きな本屋しか置いていないので、ネットで購入がおすすめ

 

学校保健・安全実務研究会 新訂版 学校保健実務必携(第5次改訂版) 

 学校保健関係者のための実務手引書。学校保健や学校安全、養護教諭に関する法律や答申を見直すために、今でも手にすることがあります。重くて分厚いですが、法律ごとにインデックスシールや付箋を貼り、パッと該当の箇所を見直せるようにして自分仕様に♪この問題文は何の資料から出題されているんだろう・・・とあれこれ探して見つからない時、意外にこれに載っており、ここを問題にしたのか!と思うことがありました。現場に出てからも使うので、購入をお勧めします。

 
★教職教養対策おすすめ教材★

大学の教員対策講座

 教職教養については、大学の教員対策講座を受講して対策。教材は配布されるテキストを使用。自分で一から学習することも可能ですが、教育学部の学生さんたちと比べると、教育系の知識や常識などが圧倒的に不足していると感じたため、ここは講座を頼ることに。費用は講義、テキスト代を含めて10万円程。いいお値段なので躊躇しましたが、絶対現役で合格したい!と思ったので、親に頼み込みました(笑)教職を本質的に理解することができたし、家では受ける自治体の過去問を演習するくらいで、得点は7~8割取れました。友人みんなで通い、養護教諭以外の教員を目指す学生とも交流があって、今では受講して良かったなと心から思っています。一人では練習が難しい面接や集団討論、願書の添削なども行ってくれるので、迷っている人はぜひ受講をおすすめします。専門教養は自分でやるしかないです!

 

資格試験研究会 教員採用試験 教職教養らくらくマスター

 講座で配られたテキストは全部で3~4冊あり、持ち運ぶのには不便だったため、隙間時間にどこでも知識確認ができるようにしたかった。ある程度教職教養の知識の理解が進んでから購入。

4 面接対策ノートを作る

 筆記試験対策も少し進んできたら、"面接対策ノート"を作りましょう。"面接対策ノート"とは、面接や集団討論、模擬授業などのいわゆる人物試験で問われる質問と自分の答え、ネタをまとめておくノートです。個人的には、A4のプリントが貼れる大きいサイズがおすすめ。(パソコンで作って印刷したものや、参考になる資料を貼りやすいため)志望動機、自己PR、理想の養護教諭など、よく聞かれそうな面接の質問を書き、それに対する自分の答えを、自分の言葉で書いておきます。最初は箇条書きでキーワードのみでも。勉強が進んでいろんな知識や考え方に触れるにつれ、このキーワードや考え方いいな~と、自分の中で答えも変わってくるので、あとから何度でも修正してOK。一度考えをノートにまとめておくと、面接でもテンポよく答えることができます。ただ暗記のようにツラツラ答えるのでは人間味がないしあなたらしさが伝わらないので、あくまでも自分の言葉で書いておくことが大切。また、教育に関するニュースや記事を見たら、「自分ならどうするか(養護教諭の視点で)」自分事として考え、それもまとめておくと、いい練習になります。

 

効率の良い受験対策のカギは、受験自治体を早めに絞っておくこと

 試験項目や筆記試験の問題の形式(マークか穴埋めか、一般的な内容か癖ありの問題か)をよく見極めて、同じような試験がある自治体を選ぶと効率のよい対策ができます。複数受験する場合は、二次試験の日にちも被っていないか忘れずにチェック。試験の項目があまりにも多いと対策は大変です。一方でどれか上手くいかなかった場合でも、他の試験で挽回しやすいというメリットも。

 

最後に

 今回は、教員採用試験の対策において、まずやるべきことを、私の実体験からまとめてみました。まだ何から始めていいかわからない人も、少しでもイメージが沸いたら嬉しいです。教員採用試験を受ける予定の人は、今自分にできるところから始めていきましょう。ライバルより一日も早く対策に取りかかりましょう!

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

【体験談】養護教諭の教員採用試験ってどんな試験?試験の内容や合格率は?



 養護教諭になるためには、毎年各自治体が実施している、教員採用試験に合格することが必要です。しかし、通常、養護教諭は学校に1人~数人のため、必然的に他の教員と比べると倍率が高く、合格を勝ち取るのは‘‘狭き門‘‘と言われています。本気で養護教諭を目指す人は、いち早く教員採用試験の特徴をつかみ、効率的に試験対策を行うが必要です。私は、新卒で複数自治体合格の経験がありますが、当時は試験についての情報が少なく困った経験がありました。私の実体験が誰かの役に立てば良いなと思い、この記事を書くことにしました。ぜひ最後までご覧ください。

 

この記事はこんな人におすすめ♪

養護教諭の教員採用試験がどんな試験か知りたい人

養護教諭の教員採用試験の難易度や合格率が気になる人

 

教員採用試験って?

自治体(都道府県および、主に政令指定都市)がそれぞれの設置、運営する学校

(公立学校)のために教員を採用する試験。これに受かってはじめて公立学校の養護教諭になることができます。

時期やスケジュール

自治体によって違いますが大まかにこのような流れが多いです。

4月~6月 募集要項の発表
出願書類の提出
試験の説明会の実施
7月~8月上旬 一次試験
一次試験合格発表
8月下旬~9月上旬 二次試験(三次試験)
9月下旬~10月上旬 合格発表

ちなみに、試験の日程が被らなければ、複数の自治体を受験することができます!

試験の内容

  • 筆記試験

 専門教養教職教養一般教養があります。

 一般教養は行われていない自治体も多いですが、専門教養や教職教養はほぼすべての自治体で行われています。

 専門教養とは、養護教諭であれば、いわゆる養護教諭に関する専門的な知識全般(学校保健、学校安全、環境衛生、身体のしくみ、感染症、救急処置等・・・)が出題範囲です。配点が高い場合が多く、これは最もウェイトをかけて対策すべきです。そしてここをしっかり押さえておかないと、実技試験や模擬授業などの出来にも大きく影響します。はじめに対策に取りかかることをおすすめします!

 教職教養は、教育学や教育心理、教育に関連する法律などについての知識が幅広く聞かれます。校種(小学校か中学校か高校か)、教科に関係なくどの教職員も同じ問題を解きます。私は、3回生の秋頃始まった、大学の「教員採用試験対策講座」を受講して対策し、あとは自分では過去問をひたすら解くだけにして本番に挑みました。

【筆記試験の形式】

 穴埋め、選択式やマーク式、記述式など、自治体によって本当に様々です。受ける自治体がどんな傾向なのか掴んでおくことがポイント!

 選択式なら分からなくてもどれか選んでおけばいいですが(笑)正しい漢字が書けていないともちろん減点対象です!養護教諭の専門教養は難しい漢字もたくさんあるので、しっかり文字で書けるようにしておくことは必要ですね。

  • 面接試験

 個人面接または集団面接があります。

 個人面接は、受験者一人に対して、面接官複数人から質問されて答えるという、一般的な面接のイメージです。

 集団面接は受験者数名(5~7名程度が一般的)対して面接官複数人で面接が行われます。何か質問があり、順番に端の人から答えていくパターンや、手を挙げた人から答えていくパターンなど様々です。集団面接になると、先に回答した人と意見が被らないようにするなど、ある程度柔軟な対応や対策が必要です。

  • 集団討論・グループワーク

 集団討論やグループワークは、受験者数名(5~7名程度が一般的)が一つの組になって、出題される課題やテーマに対し、「協力してみんなで意見を出し合って、まとめたり作り上げたりしていく!」という感じの試験だと思ってください。その過程で、コミュニケーション能力や社会性、協調性、リーダーシップなどをこれも自治体によって大きく違います。

 私は両方経験しましたが、集団討論は、司会を面接官が行うのか、受験者の中で司会を立てるのかでも雰囲気は違います。「司会をしたから」「たくさん発言をしたから」という人が得点が高くなるわけでもないそうです。周りの意見をふまえて発言することや、しっかり他の受験者の発言を聞いている姿勢も大切だと思います。

  • 実技試験

 包帯法、食物アレルギー(アナフィラキシーショック)の対応、熱中症の対応、心肺蘇生などの救急処置を、実際に人形や試験官の方に対して行います。

  • 場面指導

 主に生徒指導面を見る試験かなと思います。例えば、「自傷行為を行う中学生女子の対応」というテーマで、試験官の方が中学生女子になりきって声をかけてきます。それに対してどう対応(主に言葉かけや対話がメイン)していくかという内容でした。ロールプレイングのようにやりとりしました。

  • 模擬授業

 テーマを与えられ、数分間で指導内容(授業内容)を考えて、実際に試験官を子どもに見立てて数分間指導や授業を行うという流れでした。私が受験した自治体は、黒板を使っても良かったです。時間が少ないので、最初の導入部分しかできないと思います。いかに筋道を立てて、最初に指導内容の構成を示すことできるのかが大切なのかと思います。私は、正直中身がぺらっぺらの授業になってしまいましたが、子どもとのやりとりや、目線の配り方、堂々とした態度に気を付けてなんとかやりきりました。

 

教員採用試験の難易度や合格率

 「養護教諭は狭き門」と、母校の養護教諭に言われたことがあります。全体的に教員の採用倍率は低下傾向にあると言われていますが、養護教諭は学校に1人~数人の場合が多いため、必然的に倍率が高い!!少なくて4~5倍、多くて20倍以上の倍率の自治体もあり、全体的に見て他の教員と比べると倍率は高いといえます。また、養護教諭は受験者のレベルが全体的に高いと、教採対策講座の講師の方から聞いたことがあります(笑)

教員採用試験に受からなくても養護教諭になれる?

 私立の学校の場合、募集があれば、教員採用試験を受けなくても養護教諭になることができます。しかし、その学校独自の採用試験を受ける場合があります。

 また、公立学校の場合は、講師(臨時採用)として声がかかり、採用される場合があります。この場合も、教員採用試験に受からなくても、免許状があれば養護教諭として働くことができます。実際に、講師として現場で働きながら、毎年教員採用試験にチャレンジするという場合もたくさんあります。現場で働きながら試験対策をするのはとてもハードですが、現場経験をふまえた意見や考えが持てるのは、新卒者の人に比べて大きな強みと言えます。数年かかっても、どうしても養護教諭になりたい!という強い意志がある人は、講師として現場を経験しながら教員採用試験に毎年チャレンジするのがおすすめです。常勤講師(フルタイム)の場合、お給料やボーナスもほとんど変わりませんが、一年契約としている場合が多いです。一度講師として働いてみて、養護教諭が向いてないなと思ったら転職してもいいと思います。

最後に

 養護教諭の教員採用試験の時期やスケジュール、どんな試験が実際に行われているのかをメインに紹介しました。養護教諭の教員採用試験の受験倍率は高いため、効率よくポイントを押さえた対策が必要です。それぞれの試験の対策のポイントについても、実際に体験したことを踏まえながら、記事にしていこうと思います。例え、一度の教員採用試験のチャレンジで不合格だったとしても、講師として現場経験を積みながら毎年教員採用試験にチャレンジすることもできるし、私立学校の養護教諭として働くという選択肢があることもお伝えしました。絶対に養護教諭になりたい!という思いがあれば、養護教諭になれるチャンスは十分あるので、その気持ちを大事にしてくださいね。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。